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今仕様の為に新規リマスターが為されておりますが、現在主流の情報量重視のフラットマスタリング方式の模様。
アナログ感があり、非常に良心的な音質でございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い。
故Gregg Allman(Vo、Key、Rhythm G)、Dicky Betts(G、Vo)、Chuck Leavell(P、Key、B-vo 後にSea Level、The Rolling Stonesサポート他)、Lamar Williams(B、後にSea Level)、故Berry Oakley(B、二曲のみ)、
Jai Johanny Johanson(Ds、Per)、故Butch Trucks(Ds、Per)となります。
ゲストにLes Dudek(G)、Tommy Talton(G)となります。
プロデュースはバンド自身とJohnny Sandlin。
1972年10月~12月米国ジョージア州・メーコン”Capricorn Sound Studios”での制作となります。
今BOX仕様;
CD1:今作本編リマスター。
CD2:今作制作に向けてのデモ音源、制作極初期のジャム・セッション音源。
またCD3~4は貴重なライヴ音源。
1973年9月26日米国カリフォルニア州サンフランシスコ”Winterland Ball Room”での実況録音。
以上となります。
ライヴでの大評判が後押しとなり、ライヴ大傑作”At Filmore East”がバンド初の大成功を収めたThe Allman Brothers Band。
再びTom Dowdをプロデュースに迎え、新作制作に乗り出す事となります。
されどバンドはミュージシャン特有の私生活問題に悩まされ演奏・創作面に深刻な影響を及ぼしており、解決の為リハビリ施設に隔離・治療に臨む事になります。
その後短期間のツアーを挟み、摺った揉んだの数曲制作後の10月29日バンドのリーダー格Duane Allmanがバイク事故で突然の死去。
バンドは存亡の危機に立たされる事となります。
音楽的主導者と求心力を失い落胆と失意の中バンドの話し合いが持たれるものの、死去したDuane Allmanの為にも、と存続を決意。
残されたラインナップにて意欲的に制作が行われる事となります。
更にDuane Allman追悼を込め、大好評であった前ライヴ盤「At Filmore East」用にそして6月にも録音されたライヴ録音から三曲を抜粋。
再び二枚組として完成・リリース......という経緯がございます.........................
スタジオ録音ではDuane Allman参加三曲、残されたラインナップでの三曲となりますが、後の大傑作「Brothers & Sisters」に繋がる音楽性。
後者ではギタリストがDickey Betts一人となり、その音楽性が強く反映された感がございます。
前者も名手Duane Allman在籍時で”At Filmore East”での実績や演奏重視感はあるものの、コンパクト感が伺えるもの。
”At Filmore East”を纏めとして、楽曲の纏まり・洗練重視へと舵を切った感がございます。
Duane Allman死去で音楽性が変化した事は事実ではございますが、それ以前から次作に向け音楽性の修正や洗練化を図っていた事が感じられるもの。
故Duane Allmanが生きていたならば前作及び今作で大傑作の呼び声高い”Brothers & Sisters”の音楽性が如何仕上がっていたのか?非常に興味をそそられるものでございます。
名手故Duane Allmanを失ったもののバンドの求心力は危機を乗り越え高まり、また前作は変則的作品とは言えど高評価に大ヒット。
その後故Duane Allmanの後任を試すものの、代わりは要る筈も無く却下。
五人体制にて活動を継続する事となります..............
前作の大成功後バンドの拠点をようやく構築。
喜びに沸きバンドの新作制作及びGregg Allmanのソロ作制作に乗り出すものの、Duane Allmanを失った空虚感に悩まされたBerry Oakleyが再び過度の飲酒等々ミュージシャン特有の問題に陥り、混乱。
1972年11月11日再びバイク事故にて死去という悲劇にバンドは再び遭遇する事となります............
後任にLamar Williamsを迎え新作制作を継続するものの名手故James Jamerson(MOTOWN系名手)のシンプルさを有する演奏スタイルから、バンドの音楽的隙間を感じたGregg Allman。
ソロ作制作に参加していた名手Chuck Leavell(P、Key 後に(ロック版The Crusadersと呼ばれた)Sea Level、The Rolling Stonesサポート)に目を付け、
バンドの新作制作にも関与させる事となります。
これで新たにツイン・キーボード体制故にDickey Bettsワン・ギター体制が確立。
また当時のクロスオーヴァー系の音楽性とも絡む事となり、音楽性が変化。
大傑作”Brothers & Sisters”制作に乗り出す事となります..............................
さて今作。
故Duane Allman在籍時を含むスタジオ/ライヴ録音の前作から洗練化・コンパクト化・纏まり重視の音楽性を指向した流れを汲むものの、
ギタリストがDickey Betts一人となり、その音楽性が前作の五人編成時録音の音楽性を一層強くした感の有るもの。
故Duane Allman在籍時に比べ演奏感は緩やかで楽曲重視の感があり、当時カテゴライズされた(一般で言う)”Southern Rock”と言う音楽性に近くなった感がございます。
また制作途中から関わる事となった名手Chuck Leavellがミソ。
後の解散後にロック版The Crusadersと呼ばれた”Sea Level”を結成する事があり、当時のクロスオーヴァー系の影響が見られるもの。
故Duane Allman死去後に新たな音楽性を指向したバンドにクロスオーヴァー的な要素を持ち込んだ感がございます。
制作途中でBerry Oakleyが事故により死去という悲劇に見舞われるものの、リリース後は大好評。
ツアーはアリーナ公演中心となりバンドは順風満帆となりますが、バンドの主導権を巡りGregg AllmanとDickey Bettsが対立。
バンドに暗い影を投げ掛ける事となります.......................................
後々に名手Chuck Leavellがかの”The Rolling Stones”のサポートメンバーとして参加致しますが、と或るリハーサルでバンドは今作の名曲”Jessica”を演奏。
名手Chuck Leavellがピアノ・ソロを奏でると「あの人が弾いてるのだな~」と或る関係者は涙ぐみ、また皆感慨深げであった模様でございます...........................
未発表音源でございますが.................................................
CD2は、制作に向けてのリハーサル録音や制作極初期のジャム・セッション音源、外れ楽曲を纏めたものとなります。
リハーサル等とは言えど、マルチトラック録音で非常に音質が良いもの。加えてノイズ処理等が為されております。
リハーサルはスタジオ・ライヴ的なもので、非常に生々しいもの。
ライヴ・バンドとして名声を博していたバンドという事が有り、演奏や纏まりは見事なもの。
また本編ヴァージョンとは異なる初期段階のもの。非常に興味深いものがございます。
外れ楽曲はラフ・ミックス的でございますが、当時のアナログ収録時間の関係や音楽性の類似から外された感がございますが、中々の出来でございます。
CD3~4は、1973年9月26日米国カリフォルニア州サンフランシスコ”Winterland”での実況録音。
そもそもがラジオ放送用に毎度御馴染み”Record Plant Mobile”にて録音。
今作プロデューサーJohnny Sandlin等にて録音・ミキシングが為され、”KSAN”にて当時放送された音源でございます。
以前の企画コンピレーション盤二作にも一部収録されたものでございます。
今企画に当たり音源完全収録が為され、更に音響処理が成されたもの。非常に高音質でございます。
演奏・アンサンブルは未だ故Gregg Allman/Dicky Bettsの深刻な対立が生じる以前のもの。
新ラインナップに賭ける強い想いや今作の大成功で勢いに乗る演奏・アンサンブルという感。非常に纏まりのあるもの。
後のライヴ盤よりも出来が良い感がございます。
名手故Duane Allman時代の名曲・名演で知られる楽曲の新解釈がミソでございます。
名手故Duane Allman死去そして後任はギタリストでは無く故Greg Allman傑作ソロ作”Leid Back”に参加していたキーボード奏者名手Chuck Leavellを起用。
ギタリストは一人となったものの、新加入の名手Chuck Leavellが持ち込んだジャズ的な感覚が何を齎したか?が非常に興味深いものでございます。
当時は英国を中心とした”アート/ロック全盛期”。
それに加えて、かのジャズ巨匠名手故Miles Davisがロック音楽に接近。かの”Mahavishnu Orchestra”の登場に、かの名手故Chick Corea率いる”Return to Forever”のロック・バンド編成化に代表される
”クロスオーヴァー全盛期”突入が重なるというもの。
ライヴになると楽曲が演奏で長尺化するという南部音楽系ジャム・セッション・バンド”The Allman Brothers Band”が結果的にそれに呼応した事になりますが、
南部音楽系におけるその”クロスオーヴァー”解釈が非常に興味深いものでございます.................................
某米国風刺系お笑いアニメーションでは、「この演奏いつまで続くのかしら?」「半日ぐらいかな?」「まるでThe Allman Brothers Bandみたいね」とのセリフが出るこの”The Allman Brothers Band”。
ここではジャズ/クロスオーヴァー色が加わり、コンパクト化が以前よりも為されているとは言えど、ライヴは正にそれでございます.............................
現在では入手が困難。この機会に是非。